周手術期関連:術後合併症 消化器系

➀PONV(postoperative nausea and vomiting)
術直後~数時間に生じる嘔吐・嘔気。
有効な治療法も少ない。リスクが高い場合には予防を考慮するが、
嘔気には多彩な原因が関与しているため単一の対策では無効なことが多い。


PONVのリスクファクターは下記。
・若い
・女性
・PONVの既往
・非喫煙者
・乗り物酔いしやすい


治療方法
第1:メトクロプラミド
禁忌:消化管穿孔・閉塞性の消化管異常、褐色細胞腫、
作用機序:D2受容体遮断薬。
PONVへの効果は弱いとされる。


第2:プロクロルペラジン(ノバミン)
禁忌:カテコラミン
作用機序:D2受容体遮断薬。メトクロプラミドが使用できない場合に使用。
備考:原因不明の嘔気にも使いやすい。鎮静作用あり。


第2:ヒドロキシジン(アタラックスP)
禁忌:妊婦、ポルフィリン症、
作用機序:抗ヒスタミン薬
投与方法:手術終了時に25〜50mgIV
備考:メトクロプラミド使用しても効かなければこちらを使用。抗コリン作用に注意。
眠気が生じる。


薬剤以外の治療法
・血ガスの補正
アルカローシスが存在していたり、電解質異常があるとそれが引き金となって嘔気を生じる。
脱水があれば輸液をする、Na異常があれば補正をする。アルカローシスがあれば補正をするなどの方法で嘔気が改善する可能性はあります。
・内関のツボ
内関のツボを指圧するという方法があります。左手の手のひらの根元から三横指下の腱の間にあります。


その他保険適応外の制吐剤
エフェドリン、ドロペリドール、ドンペリドン、デキサメタゾン、オンダンセトロン、グラニセトロン等。


コメント
・術直後嘔気あれば積極的にメトクロプラミド投与。消化管穿孔/閉塞禁忌 パーキソン病注意
・体位調整し誤嚥予防、嘔吐があれば気管吸引実施
・メトクロプラミド効果なければアタラックスp。抗コリン作用に注意。