PCAS

PCASの流れ
ABC評価→TTM→CAG→神経学的評価


自己心拍再開後に全身の虚血再灌流障害に起因する種々の生体反応が惹起された状態と定義され、「心停止後脳障害」、「心停止後心筋機能不全」、「全身虚血再灌流反応」「心停止を発症した病態の継続」の4つの病態が問題



●低体温
シバリング、凝固異常、不整脈、薬物代謝遅延、心合併症リスク、疼痛増加、SSI増加。
予防:電気毛布、温風式加温機(皮膚熱傷のリスク)


術後加温中断アセスメント
→前腕部と指先の温度差 普通は3~4度くらい


加温を行うと末梢血管拡張にてウォーミングショックが生じる可能性あり。
末梢拡張にて末梢で冷えた血液再還流により体温低下というアフタードロップ現象もあり
→心臓冷却による心機能低下、不整脈出現リスク。


シバリングが生じると基礎代謝2~3倍、酸素消費量10倍まで上昇する。


●脳低体温療法
脳損傷の後に、体温下げることで脳障害の進行をふせぐ方法。
中枢神経保護作用や代謝抑制作用あり。
ROSC後昏睡状態の全ての患者に対し32~36度の中で目標選び、24時間以上維持する。
24時間後から復温開始、復温後、高熱が予測されるため48時間はルート留置。
復温後36度で筋弛緩のみ中止、鎮静鎮痛はシバリング予防のため継続。
37度まで上昇したらCT評価。
復温速度は0.1~0.2°C/hで加温。急速になると脳浮腫のリスクがあり。
ゆっくりで悪いことは無い。
シバリングスコア2以上はドクターコール


TTMシバリング、皮膚トラブルや低血圧起きやすい。
TTMの副作用
血管内容物の血管外漏出、糖代謝異常、心収縮力抑制、徐脈
易感染(バクテリアルトランスロケーションのリスク→早期経管栄養で予防)


シバリングは中枢温と末梢の差が4度以上で生じやすい
予防:鎮静鎮痛筋弛緩、深鎮静
顔や手足のみの保温(体幹への保温はシバリング誘発


〇PCAS後呼吸
ROSC後、Pao2.Sao2が測定できるまでは100%酸素を投与
SaO2 94-98% または PaO2 75-100 mmHgを目標に酸素投与
• TTM中の患者ではPaCO2が低下しやすいので頻回にモニタリ ングする
• 肺保護換気戦略を行う。一回換気量は6-8 ml/kg(理想体重) を目標とする


○PCAS後循環
・ST上昇のない院外心停止蘇生後患者で、心停止の原因が急性冠動脈閉塞の可能性が高い場合には緊急の 心臓カテーテル検査を考慮すべき
→再還流療法
・MAP65以下を避ける。尿量0.5ml/kg/hを保て、乳酸が低下傾向になるようMAPを調整
→心電図で虚血がなければ頭部CTか肺血管造影(CTPA)が必要
・血行動態不安定ならビジレオモニターを使用する
・できるだけ早期に心エコーを行う
・輸液やカテコラミンに反応しない左心不全による心原性ショックが 持続する場合、メカニカルサポートを考慮する(IABP, LVAD, VA- ECMOなど)


○PCAS後脳
・seizure(てんかん発作)
・ルーチンでのseizure予防を行わないことを推奨
・心停止後のseizureの治療に、 鎮静薬に加えて、レベチラ セタムまたはバルプロ酸を 抗てんかん薬の第一選択と して使用する


〇PCAS後体温
・TTMを行う場合、32~36度の範囲の一定を目標とする(どの体温が良いかは不明)
・TTMは少なくとも24時間行う
・(shockableリズムVt.VF)のPCASはTTMを推奨
・non shockable リズムはPEAと心静止も推奨
・波形に関係なくTTM推奨
・PCAS後72時間の高体温(37.7度以上)を避ける
・33°CでのTTM中の徐脈は、血圧や乳酸、ScvO2、SvO2が保ててい れば治療対象としない
• 低Kを避ける


〇PCAS後、神経学的所見
ROSC後72時間以上経過した時点でM≦3の患者 で、修飾因子がない状態で




2つ以上該当 →予後不良
• 72時間以上の時点で、対光反射と角膜反射がない
•N20 SSEP波が両側で消失(上肢の電気検査)
• 24時間以上の時点で、脳波所見が高度に悪性
• 48または72時間の時点でNSE >60μg/L(神経特異エスラーゼは予後不良
• 72時間以内のミオクローヌス重積状態
• CT/MRIで広範な低酸素脳症の所見
TTM中の患者では、最終的な神経所見の評価は復温後に行う


低酸素脳症(SIADH)にて抗利尿ホルモン分泌阻害による多尿にはデスモプレシン点鼻薬を投与する。尿量低下・血圧上昇に注意