高カルシウム血症の治療

問診事項
体重減少.食思不振·多飲.多尿·便秘・認知機能害、長期臥床、脱水、鎮痛薬の使用
既往歷:腎疾患、骨粗鬆症、性腫瘍、肉芽性疾患(結核、サルコイドーシス)、甲状腺機能進症
内服歴:ビタミンサプリ、ビタミンD/A製剤、カルシウム製剤、サイアザイド、リチウム、テオフィリンなど
検査
採血:Ca(iCa)、iPTH、PTHrP、1,25(H)ビタミンD、Cr、BUN
尿検查:尿中Ca、Cr


重症度
●血清Ca濃度<12mg/dL:軽症
緊急の治療は不要。
増悪因子(サイアザイド、リチウム、脱水、長期臥床、高カルシウム食>1g/day)を避ける。
尿路結石予防のため飲水を促すし、原疾患治療を行う

●血清Ca濃度12〜14mg/dL:中等症

慢性なら慌てる必要なし。しかし長期間持続すると軟部組織が石灰化する。
急性なら重症と同様に対応


●血清Ca濃度14〜18mg/dL:重症
重症化するため、症状に関わらず絶対的治療適応
重度の体液量欠乏、急性腎不全、低血圧、心電図変化、傾眠傾向、心静止などを来しうる。
腎不全・心不全合併なら、緊急透析を考

●血清Ca濃度>18mg/dL:最重症

緊急透析の適応


治療
①③から開始して、後ほど④を検討する


①輸液:N/Sを200〜300ml/hで開始。3〜6L/日。尿量100〜150ml/hを目標。輸液のみで1〜2mg/dlCa↓効果ありと言われている。Ca入り点滴は不可。溢水に注意。


②フロセミド:脱水による高Ca血症助長するため溢水時以外は使用しない。


③カルシトニン:エルシトニン(im)は原因に関係なく使用でき、副作用も少ない。作用としては破骨細胞の作用を抑えることで骨吸収を減少させる。効果は4〜6時間で出現する。Caを1〜2mg/dl減少させるといわれている。


④ビスホスホネート製剤:もっとも有効なのはゾレドロン酸(ゾメタ4mg)をN/S100mlに溶解して15分以上かけて投与。経口のビスホスホネート製剤は不可。2回目の投与は1週間以上間隔をあける。効果発現まで48時間かかり、2〜6日でCaが正常化するといわれている。
カルシウムアルカリ症候群では低Caのリスク有り、腎障害のリスク有り。初回インフルエンザ様症状や顎骨壊死のリスク


⑤糖質コルチコイド
尿中Ca排泄を亢進、活性型VtDの活性を下げ、Caを下げる
肉芽腫、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、ビタミンD中毒で有用 
効果発現に2〜5日要する


⑥血液透析
症候性Ca血症+AKIが適応
急激にCaが下がるリスク、低リンにも注意。