血液検査 線溶系

①プラスミノーゲン
基準値:80〜130%
プラスミノーゲンは肝臓で合成、分泌され、血液中を循環している。
血液中に血栓が生じると組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)がプラスミノーゲンに作用し、プラスミンへ変換される。


このプラスミンは,フイブリン,凝固第Ⅴ・Ⅷ因子等、血栓を分解する。 
血栓溶解において線溶系の中心的役割はプラスミンが担っている。
その前駆体であるプラスミノーゲンの測定により,生体内での凝固・線溶状態,特に線溶活性を知ることができる。


高値の原因
妊娠、経口避妊薬、慢性炎症、悪性腫瘍、血栓静脈炎、外傷、ストレス


低値の原因
播種性血管内凝固症候群(DIC)、肝実質障害、術後、薬物投与(ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、レプチラーゼなど)


※ウロキナーゼとt-PAについて。
ウロキナーゼは、プラスミノーゲンからプラスミンへの変換を促進する。
血中でのプラスミンを増やす作用があり、大量のプラスミンを作成するため、ウロキナーゼ製剤は出血傾向が強いとされているのはそのためです。


t-PA製剤は、血栓中でプラスミノーゲンがプラスミンに変換されるのを活性化する働きがある。血中のプラスミンはあまり増えることはない。そのためウロキナーゼに比べ出血傾向は少なくなる。


※トラネキサム酸について
トラネキサム酸はプラスミンの前駆体であるプラスミノーゲンからプラスミンへの変換を阻害する。プラスミン阻害薬である。


②アンチプラスミン(α2プラスミンインヒビター)
基準値:80〜130%
線溶亢進を阻止するタンパクであり、肝臓で産生される。プラスミンを失活させる。
これが欠乏していると、止血した後にプラスミンが効きすぎてしまい、じわじわ再出血をきたす要因となる。


低値の原因
先天性α2-PI欠乏症、肝硬変や劇症肝炎などの重症肝機能障害による産生障害,t-PAやu-PA投与中、DIC、急性前骨髄球性白血病