腎臓癌:腎摘出術

・腹腔鏡下腎摘出術
1)経腹膜到達法
経腹膜アプローチの利点は解剖学的ランドマークが平易で ワーキングスペースが広いが,欠点として腎動脈へのアプ ローチにやや難があり,周囲臓器の損傷にも注意が必要である。


2)後腹膜到達法
後腹膜アプローチでは腎茎部に直接アプロー チする事が可能であり,周囲臓器の損傷が少なく手術時間 も短い傾向がある.


体位:側臥位で実施。
ジェロータ筋膜ラインで剥離する。
腫瘍が副腎と離れている場合は副腎は温存する。


適応:ステージI、Ⅱ


術中合併症
・腎血管、下大静脈損傷
・肝、脾損傷
・腸管損傷


術後合併症
・無気肺(側臥位で実施のため、健側が無気肺となりやすい)
・腋窩神経麻痺(側臥位による圧迫によって生じる、肩挙上困難やしびれ)
・皮下気腫、ガス塞栓、肺塞栓
・リンパ郭清の際には乳び漏



・開腹腎摘出術
腫瘍経が10cmを超える場合や、ステージⅢの腎臓がんが適応。


経腹膜到達法:仰臥位。切開法は腹部正中切開、L字・逆L字切開、肋骨弓下横切開
後腹膜到達法:側臥位。切開法は腰部斜切開。


・腹腔鏡下腎部分切除術
腎摘除術より手術手技が難しい。
腎臓が血管豊富な臓器であり、術中腎動脈を阻血下で30分程度で行わければならないため。
適応:4cm以下の腎腫瘍、


術後合併症
・出血
・尿漏(約半数は腎盂が開放されるため。
・腎阻血による腎機能低下 阻血時間が長いほど生じやすい