抗血小板薬

抗血小板剤は、血小板の凝集を阻害することで、主に白色血栓を作らないようにする作用を持つ薬剤である。動脈における血小板血栓予防に優れている。


●COX-1阻害薬
シクロオキシゲナーゼ (COX-1) にアスピリンが結合することでトロンボキサンA2 (TXA2) が産生されず、血小板が凝集しない。不可逆的作用のため血小板の寿命(7日間)を待たないと作用は消えない。


アスピリン(バイアスピリン) 他:バファリン81mg

錠:100mg
禁忌
消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制作用により,胃の血流量が減少し,消化性潰瘍を悪化させることがある.
出血傾向のある患者
アスピリン喘息


効能又は効果
狭心症、心筋梗塞
虚血性脳血管障害
冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)


用法及び用量
アスピリンとして100mgを1日1回経口投与する.
なお,症状により1回300mgまで増量できる.
川崎病に使用する場合
急性期有熱期間は,アスピリンとして1日体重1kgあたり30〜50mgを3回に分けて経口投与する.解熱後の回復期から慢性期は,アスピリンとして1日体重1kgあたり3〜5mgを1回経口投与する.


高率で胃粘膜障害を起こすため腸溶剤となっている。


●チエノピリジン誘導体系抗血栓薬 
血小板活性を抑制するcAMPを助けることで抗血小板に働く。


他:第一世代:塩酸チクロピジン(パナルジン) 
第三世代:プラスグレル(エフィエント)・・・クロピドグレルとは違い、プロトンポンプ阻害薬はプラスグレルの抗血小板作用を減弱しないので、併用は比較的安全


クロピドグレル硫酸塩(ブラビックス) 第二世代

錠:25mg、75mg


効能効果
虚血性脳血管障害後の再発抑制
急性冠症候群
安定狭心症、陳旧性心筋梗塞
末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制


用法用量
虚血性脳血管障害後の再発抑制の場合
75mgを1日1回経口投与する。


経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患の場合
300mgを1日1回経口投与し、その後、維持量として1日1回75mgを経口投与する。


塩酸チクロピジン(パナルジン)に比べ肝障害、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)などが少ない。


●プロスタグランジン製剤
PGE1誘導体製剤リマプロストアルファデクス(オパルモン、プロレナール)
PGI2誘導体製剤ベラプロスト(ドルナー、プロサイリン)
ベラプロストは肺高血圧症にも適応があり、リマプロストアルファデクスは脊柱管狭窄症で用いられることがある。
●魚油
EPAやDHAなどは血小板凝集作用の弱いTXA3に代謝されるので、結果として血管拡張と抗血小板作用を示す。脂質異常症と閉塞性動脈硬化症に適応をもつ。脂質異常症の治療も兼ねるイコサペント酸エチル(エパデール)が有名である。
●トロンボキサン合成酵素阻害剤
血小板凝集を促進し血管を攣縮させるTXA2の合成酵素を阻害する。そうすると、器質に供給されてPGI2の産生も増える。脳梗塞の急性期に点滴で投与するほか、クモ膜下出血に伴う血管攣縮にも適応がある。オザグレルナトリウム(カタクロット、キサンボン)が有名である。
●PDE3阻害
ホスホジエステラーゼを阻害すると細胞内の環状アデノシン一リン酸濃度が上昇し、血小板が凝集しない。副作用として心拍数が増え、それを動悸と感じる場合がある。除脈の患者には有利に働く。シロスタゾール(プレタール)などがある。プレタールは心原性脳梗塞症のほか、閉塞性動脈硬化症の疼痛改善効果も報告されている。
●5−セロトニン受容体2拮抗剤
血小板に存在し、血栓ができるときに凝集を促進する、5-HT2受容体の拮抗剤。塩酸サルポグレラート(アンプラーク)がある。