胃薬 Histamine H2-receptor antagonist

H2RA(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)
保険適用制限なし。1日2回の服用。
※高齢者に対する長期使用は認知機能低下のリスクがある。
胃の壁細胞に存在し胃酸分泌を促進するヒスタミンH2受容体を競合的に拮抗する.
効果の発現が速いものの、効果の減弱は早い。


副作用
ヒスタミンH2受容体は心筋等にも存在するため、不整脈等の心臓の異常を起こすことがある。特に心臓病の患者が摂取することは禁忌とされる。
骨髄にある造血幹細胞のH2受容体を阻害するため血球減少、再生不良性貧血、無顆粒球症などの血液障害もみられる。
脳内のH2受容体を阻害することで、せん妄や錯乱などの症状を起こす
代謝経路は腎排泄のため腎機能が低下している方は作用が強く現れるため容量調整必要(ラフチジン以外)


初期はPPI、後々H2ブロッカーへ変えていく 
効果の強さ PPI>H2ブロッカー 
即効性   PPI<H2ブロッカー


1)ガスター(ファモチジン)

胃粘膜血流量増加作用により防御因子を増強する。胃粘膜増加作用なし。
力価はH2ブロッカーの中で一番。


用法容量
内服:1回20mgを1日2回経口投与。また、1回40mgを1日1回(就寝前)経口投与
点滴:1回20mgを1日2回12時間毎緩徐に静脈内投与する。
注射剤の場合QT延長のリスクあり
注射剤にはインジケーター(ピンク色の状態)が入っており、変色(青~紫)しているときやフィルム内に水滴がある場合は使用してはいけない


2)ラニチジン(ザンタック)

胃粘膜保護作用が推測されるとの記載。胃粘膜血流増加作用はなし。
肝臓の代謝酵素CYPを阻害する作用を持つためワーファリン、ハルシオン等と併用注意


用法容量
内服:1回150mgを1日2回経口投与。また、1回300mgを1日1回(就寝前)経口投与
点滴:1回50mgを1日3〜4回静脈内又は筋肉内注射する。



3)ラフチジン(プロテカジン)

カプサイシン感受性知覚神経を介した胃粘液増加作用を有する。胃粘膜血流増加作用もあり。腎障害があっても用量調整不要のため透析患者に用いられる。
代謝経路は肝代謝、胆汁排泄です。プロテカジンは脂溶性が高く、肝臓で主にCYP3A4という酵素により代謝された後、大部分が便から排泄される。


用法容量
1回10mgを1日2回経口投与


4)シメチジン(タガメット)

タガメットは肝薬物代謝酵素CYP2D6、CYP3A4の働きを強く阻害。
ワーファリンやベンゾジアゼピン系薬剤、高血圧治療薬のカルシウム拮抗薬、三環系抗うつ薬やフェニトインなど併用注意
シメチジンは抗アンドロゲン作用(性欲の低下、インポテンツ)がみられることがあるが中止すると回復する。
用法容量
内服:1日800mgを2回経口投与
点滴:1回200mgを1日4回(6時間間隔)緩徐に静脈内注射する


5)ニザチジン(アシノン)

消化管運動促進や唾液の分泌を促す作用がある。


用法容量
1回150mgを1日2回経口投与。また1回300mgを1日1回(就寝前)経口投与


6)ロキサチジン(アルタット)

H2ブロッカー+胃粘膜保護作用


用法容量
内服:1回75mgを1日2回経口投与.また,1回150mgを1日1回(就寝前)経口投与
点滴:1回75mg1日2回(12時間ごと)緩徐に静脈内投与