低カリウム血症の鑑別と治療

●血清カリウム(K)
基準値:3.5~5.0mEq/L


症状:下肢脱力、筋痙攣、イレウス、不整脈(アルカローシス合併時に多い)


●緊急性がある場合

  • K<2mEq/L
  • 不整脈
  • 筋麻痺

●鑑別診断
まず、偽性低K血症(TPN投与時のINS投与による細胞内シフト)を除外する。



・TTKG <2 尿中K < 20mEq/日の場合 
 ①K摂取不足②K排出過剰(下痢、嘔吐)



・TTKG  >3 尿中K >20mEq/日の場、
【高血圧有り】かつアルドステロン高値
→レニン高値では腎動脈狭窄症orレニン産生腫瘍
→レニン低値では原発性アルドステロン症


【高血圧有り】かつアルドステロン低値〜正常
→コルチゾル高値(クッシング症候群、ステロイド投与)
・コルチゾル正常〜低値(甘草、グリチルチン、低Mg血症、Liddle症候群


【高血圧なし】
・代謝性アシドーシス(尿細管アシドーシス)
・代謝性アルカローシス(利尿薬、Batter/Geteliman症候群)


※TTKG(TransTubular K gradient)計算式
=(尿中K濃度×血液浸透圧) / (血中K濃度×尿浸透圧) ※尿浸透圧>血液浸透圧の時のみ成立 


治療
①内服(症状なければ経口)
・スローケー(塩化カリウム):600mg(K 8mEq)
・アスパラカリウム(L-アスパラギン酸カリウム):300mg (K 1.8mEq)
 ※アスパラカリウムは細胞内に取り込まれやすい。
・グルコン酸K(グルコン酸カリウム):1,150mg(K 5mEq)


②注射剤(緊急性あるなら注射剤)
・KCL(塩化カリウム):10mEq、20mEq
・アスパラK注(アスパラギン酸カリウム):10mEq/10mL/1A
 ※アスパラカリウムは細胞内に取り込まれやすい。


末梢:20mEq/L以下、速度20mEq/L以下
中枢:40mEq/L以下、速度40mEq/L以下 
  ※低Mg血症ではMg補正も行う


主な輸液製剤のK濃度
・KCL補正液        K+20mEq/20mL→(1000mEq/L)
・エルネオパNF2号     K+27mEq/L
・エルネオパNF1号     K+22mEq/L
・KNMG3号         K+20mEq/L
・ソルデム3A、ビーフリード K+ 20mEq/L
・アクチット        K+17mEq/L
・ソルアセトF        K+ 4mEq/L
・ラクテックG       K+ 4 mEq/L
・生理食塩水        K+0mEq/L
・ソルデム1         K+0mEq/L
・5%ブドウ糖液       K+ 0mEq/L


Na  1mEq=1mmol
K  1mEq=1mmol
Cl 1mEq=1mmol
Ca 1mEq=0.5mmol