周手術期関連:術後合併症 腹腔内系
➀術後出血
腹腔内術後はインフォメーションドレーンが挿入されていることがある。
術直後は術後出血の観察が必須。
ドレーンから血性排液が100mL/時以上のときは、術後出血を疑いDrCall。
緊急再開腹止血術が必要になることがある。
出血量が1000mL以上になると血圧が低下しはじめ、心拍出量を確保するために頻脈となり、腎血流が低下して尿量も減少する。
血液量の減少により組織への酸素供給が減少すると、酸素を利用した代謝(好気性代謝)ができなくなるため、酸素を使わない代謝(嫌気性代謝)が主となり、代謝産物としての乳酸などが蓄積する。過剰な乳酸により酸性となった血液を中性に戻すため、代償的に呼吸数が増加(頻呼吸)する。
出血により体温が奪われて生じる低体温や、止血のための凝固因子が消費されて起こる凝固障害、体内が酸性に傾く(代謝性アシドーシス)が加わると、さらに止血困難となり悪循環に陥る。出血の発生から死亡までは中央値約2時間と言われており迅速な対処が必要である。
身体所見
・心拍数:100回/分以上
・呼吸数:22回/分以上
・低血圧(収縮期血圧90mmHg)、または通常の血圧から30mmHgの低下
・尿量:0.5mL/kg/時
・意識障害
検査
・採血データ(Hb※超急性期では低下しない)
・CT
治療
・輸液や輸血
・止血術
②術後腹腔内感染(膿瘍形成)
消化管の外傷や穿孔、また消化管手術後の縫合不全によって、消化管内容リークすることで、腹腔内に形成された感染性液体貯留を「腹腔内膿瘍」という。上部消化管からの漏れは下部消化管からの漏れと異なり、腹膜炎の進行が緩徐で劇症化することが少なく、液体貯留辺縁の被膜形成により腹腔内膿瘍となることが多い。
膿瘍は腹腔内のどこにでも形成されるが、重力ならびに体腔内コンパートメントの影響で、①右横隔膜下、②左横隔膜下、③モリソン窩、④ダグラス窩、⑤右傍結腸窩に多い。非手術患者では、⑥網囊腔、⑦肝下面、⑧小腸間膜の間にも膿瘍形成をみることがある
治療:ドレナージ、抗菌薬
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。