耐性菌とβラクタマーゼ

βラクタマーゼ
●ペニシリナーゼ
産生する菌はペニシリン系及び第1、第2世代セファロスポリン等を分解する。
治療:セファマイシン系(CMZ)、第3世代セファロスポリン及びカルバペネム系抗菌薬。


●ESBL:基質拡張型ベータラクタマーゼ産生菌
ペニシリナーゼが進化してペニシリン系、セフェム系を分解するようになったもの。
治療:軽症ならセファマイシン系(CMZ)、重症ならカルバペネム系、
ピペラシリン・タゾバクタムは分解される場合がある。


●MBL:カルバペネマーゼ(セファロスポリナーゼ)
染色体性、プラスミド性含め、Bacteroides fragilis、Srratia marcescens、Klebsiella pneumoniae、Escherichia coli 等複数のグラム陰性菌で確認されています。
ペニシリン系、セファロスポリン系、
セファマイシン系に加えてカルバペネム系も無効
治療:キノロン系、STで治療


●AmpC産生菌
ESBL同様、ベータラクタマーゼの一種。
AmpCは多くの腸内細菌科細菌がもともと保持していますが、その量が少ない。
しかし抗菌薬曝露により誘導されて過剰に発現すると、ペニシリン系から第3世代セフェム系まで広範な薬剤耐性を獲得する。
治療:カルバペネム系抗菌薬。 第4世代セファロスポリン系抗菌薬


耐性菌
●MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
メチシリン耐性を獲得したMSSA。
治療:抗MRSA薬


●VRE:バンコマイシン耐性腸球菌
バイコマイシンに耐性を獲得した腸球菌。
治療:リネゾリド、ダプトマイシン


●PRSP:ペニシリン耐性肺炎球菌
ペニシリンに耐性を獲得した肺炎球菌。通常は無症状であるが、咽頭炎や扁桃炎などの炎症が発生した場合には、炎症部位で菌が増殖 し感染症状を呈することが多い。
また、乳幼児の化膿性髄膜炎や小児の中耳炎、肺炎、高齢者の肺炎などの原因菌となる。
ペニシリンに対する耐性度によりペニシリン低感受性菌(PISP)とペニシリン耐性菌(PRSP)に区別される。
治療:カルバペネムやペニシリンの大量投与療法が一般的。
重症例ではカルバペネムとグリコペプタ イドなどの併用療法などが試みられている。成人にはニューキノロンの投与がL効な場合も多い。


●MDRP:多剤耐性緑膿菌
緑膿菌治療のキードラッグであるカルバペネム系、フルオロキノロン系、アミノグリコシド系のすべてに耐性となった緑膿菌をMDRPと呼びます
治療:アザクタム(AZT)にアミノグリコシド系薬のアミカシン、ゲンタシン、トブラシンなどを併用することが多いです。 抗MRSA薬のハベカシンが効くことがあります。


●CRE:カルバペネム耐性腸内細菌科細菌
CREの耐性機構には種々ありますが、中でも「カルバペネマーゼ」というあらゆるベータラクタム系薬を分解してしまう酵素をもつ細菌を「カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)」と呼びます。
治療:CREはカルバペネム非感性ではあるが, MICの値によっては, 治療の選択肢になり得ると考えられている。カルバペネム単剤で治療した場合は, MIC≦1μg/mLであれば治療予後が良いが, MIC≧2μg/mLだと予後不良と報告されている。
併用療法では, 感受性のある薬剤と併用する場合にはMIC≦8μg/mLの場合は比較的予後が良好であるとされる6)。コリスチン、チゲサイクリン:グリシルサイクリン系抗菌薬