高カルシウム血症の鑑別
●フローチャート
・血清Ca高値の場合、再検査及び補正Ca・iCaを検査する
・真の高Ca血症が確定すればiPTHを測定する
PTH:正常〜高値の場合は尿中Ca濃度測定する
・尿中Ca濃度低値の場合→FHH(家族性低Ca尿性高Ca 血症)
・尿中Ca濃度高値の場合→PHP(原発性副甲状腺機能亢進症) →手術or 様子観察
PTH:低値(20pg/ml以下)の場合は非PTH関連性高Ca血症となる。
・PTHrP(PTH関連蛋白)、1,25(OH)VtD、25(OH)VtDを測定する
・PTHrP高値の場合→悪性腫瘍の可能性
・1.25(OH)VtD高値の場合→悪性リンパ腫、サルコイドの可能性
・25(OH)VtD高値の場合→薬剤、サプリメント等の可能性
・ビタミンD,PTHrPともに正常の場合→たの原因を考慮(SPEp,UPEpTSH,VtAを測定する
●鑑別診断 ※PHPと悪性腫瘍で9割を占める
PTHに関連するも
孤発性:原発性副甲状腺機能亢進症(PHP)
遺伝子変異:MEN、
家族性孤発性副甲状腺機能亢進症
hyperparathyroidism-jaw tumor syndrom
家族性低Ca尿性高Ca血症(FHH)
三次性副甲状腺機能亢進症
PTHに関連しないもの
悪性腫瘍
ビタミンD中毒
慢性肉芽腫性病変(サルコイドーシス、結核、リンパ腫)
薬剤性
サイアザイド系利尿薬、リチウム、テリパラチド、ビタミンA過剰、テオ
フィリン中毒
その他
甲状腺機能亢進症、先端巨大症、褐色細胞腫、副腎不全、長期臥
床、非経ロ栄養、カルシウム・アルカリ症候群
●高カルシウム血症となる疾患についての一部詳細
PHP(原発性副甲状腺機能亢進症)
- 外来患者の高Ca血症の原因No.1(慢性)
- 無症候性・軽度(<11mg/dL)の高Ca血症が多い
- 重篤な高Ca血症は少ないが軽度の高Ca血症でもiPTH測定すべき
- PTH↑ → 骨吸収↑ → Ca↑ p↓
- 高C|性アシドーシス(CI>103mEq/L)+尿Ca↑
- ALP↑、UA↑、PTH正常上限〜↑
- 10〜20%のPHPは、PTHが正常上限
- 年齢不相応な骨粗鬆症・繰り返す腎結石で疑う
- 線維性骨炎(5%)は、特異的
悪性腫瘍関連
- 入院患者の高Ca血症の原因No.1
- 全ての担癌患者の10〜30%(特に末期)
- 血清Ca高値は予後不良
- 急速に上昇し、高値になることが多く有症状となりやすい。
- 担癌患者のPHP(原発性副甲状腺機能亢進症)の罹患率は高いため、iPTH測定は妥当
- iPTH↑、PTHrP↑なら、PHPの並存の可能性あり
- PTHrP>12pmol/Lは予後不良
薬剤性高カルシウム血症
- 脱水による腎機能悪化によって、普段の内服量でも発症しうる
- 高Ca血症を起こすビタミンD濃度は不明
- 一般的に、>150ng/mL(376nmol/L)といわれている
- サイアザイド系利尿薬を原因の場合でも、Ca>12mg/dLのときにはPHP合併を考慮
- エルデカルシトール(エディロール)は、採血で、1,25(OH)2ビタミンDが上昇しない
原因薬剤
・骨粗鬆症治療薬:活性型ビタミンD製剤(アルファロール、ワンアルファ、ロカルトロール、エディロール)、カルシウム製剤(アスパラCA)
・ビタミンA製剤(ザーネ、チョコラ)
・サイアザイド系利尿薬(フルイトラン)
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