高ナトリウム血症の鑑別と治療
●血清ナトリウム(Na)
基準値:135~145mEq/L
症状:傾眠、脱力、不穏、痙攣、昏睡
生体反応:高Na→血清浸透圧上昇→①口渇→多飲 ②ADH分泌→水再吸収増加
原因
- Na摂取量増加 →Naを多く含む輸液による医原性ものがおおい
- 体内水分減少 →尿崩症、浸透圧利尿、発汗、不感蒸泄、嘔吐、下痢
尿浸透圧による鑑別
- 計算式①尿浸透圧 (mOsm/kg)=(尿比重—1)×1,000×20〜30 で計算する
- 計算式②尿浸透圧(mOsm/kg)2×[尿中ナトリウム濃度(mEq/L)+尿中カリウム濃度(mEq/L)]+BUN(mg/dL)/2.8
- 平均値:581~1,136mOsm/kg
- >600mOsm/kg 腎臓以外からの喪失
- 300〜600mOsm/kg 尿崩症 or 浸透圧利尿
- <300mOsm/kg 尿崩症
治療
- 原疾患の治療及び自由水(5%TZ)の投与
- 発症48時間未満、急性の場合
- 1〜3mmol/L/hの速度で補正し24時間以内に基準範囲へ戻す
- 10〜12mmol/L/h/dayを超えないようにする
- 発症48時間以上 慢性の場合
- 10mmol/L/dayを超えない速度で補正
- ただし6mmool/L/dayより遅いと予後悪化のリスク
治療の目安
- 喪失水分量=総体液量×[(血清Na濃度/140)-1] ※総体液量=体重× (M:0.6,D:0.5)
- 予測補正Na濃度=ΔNa=輸液1Lあたりで変化する血清Na濃度
- ΔNa=(血清Na濃度-投与する輸液のNa濃度)/(総体液量+1)
主な輸液製剤
・生理食塩水 Na+ 154mEq/L
---------------------------血漿Na濃度の正常値はこのあたり----------------------
・ソルアセトF Na+ 131mEq/L
・ラクテックG Na+ 130mEq/L
・ソルデム1 Na+ 90mEq/L
・エルネオパNF1号/2号 Na+50mEq/L
・KNMG3号 Na+50mEq/L
・塩化ナトリウム10% Na+ 34.2mEq/20ml→(1710mEq/L)
・アクチット Na+45mEq/L
・ソルデム3A、ビーフリード Na+35mEq/L
・5%ブドウ糖液 Na+ 0mEq/L
※
Na 1mEq=1mmol
K 1mEq=1mmol
Cl 1mEq=1mmol
Ca 1mEq=0.5mmol
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