血液検査 腎疾患関連

①血清尿素窒素 BUN 腎機能の指標
基準値:8~20mg/dl BUN100以上では尿毒症の可能性が高い。
アミノ酸の分解産物であるアンモニアは肝臓で代謝されて尿素生成。
血中に放出された尿素は腎糸球体で濾過され一部尿細管で再吸収されて尿中に排出される。
BUNは血液中の尿素に含まれる窒素量を測定しています。
腎前性の因子に大きく影響される。

高値の原因

  • 腎疾患(eGFRが正常の50%まで低下するまでBUNは変動しないことが多い)
  • 腎前性(脱水消化管出血、うっ血性心不全、蛋白異化亢進※1)
  • 腎後性(尿管結石、膀胱腫瘍)  ※1手術、悪性腫瘍、甲状腺機能亢進
  • その他(蛋白摂取量増加)


低値の原因
低蛋白食、肝疾患(尿素合成力低下のため)、妊娠(胎児へのタンパク供給)、尿崩症、マンニトール利尿など


②血清クレアチニン Cr
蛋白質代謝の後、筋肉から放出される最終代謝産物。
再吸収されずほとんどが尿中に排泄され、腎外性因子の影響を受けないため、腎機能の指標として優れている。
ただし筋肉量によって変動する
男性:0.6~1.1 mg/dL 女性:0.4~0.7 mg/dL


高値の原因
腎疾患、甲状腺機能亢進、筋疾患

低値の原因

肝疾患、尿崩症、透析


③BUN/Cre比
BUNの異常は主に腎機能を反映するが腎外性因子に強く影響を受ける。
BUNが高値の場合にはBUN/Cre比を計算することにより、腎外性因子の影響の程度を推定できる。 BUN/Cre比 通常は10前後。
10以上:腎外性因子(蛋白摂取量増加、消化管出血、脱水、発熱)
10以下慢性腎不全、低蛋白食、肝不全



④クレアチニン・クリアランス(Ccr)
血清クレアチニン値と尿中クレアチニン値を測定することにより、腎臓の老廃物を排出する能力がどれくらいかを知ることができる。これをクレアチニン・クリアランスという。
基準値:82~183mL/分 ※検査には蓄尿が必要。

高値の原因

DM、ネフローゼ、高たんぱく食

低値の原因

腎疾患、脱水、低たんぱく食


CCr予測式



4)推算糸球体濾過量(eGFR)
糸球体濾過能力を正確に表すのは、前述したクレアチニン・クリアランスが有効であるがより簡便な方法がeGFRである。
正常の50%程度まで低下して初めてCrやBUNに影響がでる。
基準値:90ml/分以上


高値の原因
DM性腎炎、妊婦、高たんぱく食

低値の原因

腎疾患、肝硬変、DIC