皮膚病変所見

●原発疹


・紅斑 erythema)
皮膚があかくなっていればとりあえず紅斑と表現してよい。紫斑との鑑別のため指で圧迫し、色が消退することを確認する。紅斑は真皮の血管拡張によってもたらされる色調変化であるが➀炎症性のものと②非炎症性のものがある。


・紫斑 purpura
真皮の血管破綻により血球成分が血管外に漏出ために起こる色調変化である。通常紫色であるが新鮮な皮疹は紅色をしている。紅斑と違い圧迫しても色調は消退しない。
➀炎症性紫斑:主に血管炎で生じる。血疱、丘疹、びらん、潰瘍などを生じ、ときに微熱、倦怠感などの全身症状や腎機能障害、神経症状を呈することがある。
②非炎症性紫斑:血小板の異常による血小板減少性紫斑病や、凝固因子の異常による血友病、血管支持組織の脆弱性による老人性紫斑、原因不明の色素性紫斑病などがある。

・丘疹
限局性の小さな皮膚の隆起。
2~10mmのものを丘疹と呼ぶ。  表皮or真皮、あるいはその両方が肥厚する。
 ノミアレルギー、蚊の刺咬後、天然痘の初期などにおいて認められる。

・結節

1~3cmの皮膚の隆起。


・腫瘤
3cm以上の皮膚の隆起。
丘疹、結節は炎症性の場合と腫瘍性の場合があるが、腫瘤のほとんどは腫瘍性である。


・白斑
一部の皮膚が白くなってしまう病気で、メラノサイトと言う黒い色素と作る細胞に異常をきたすことで生じる。



・膨疹
膨疹は一過性の真皮の浮腫で、多くの場合紅斑、掻痒を伴う。1日以内に自然消退することが特徴です。1日以上同じ場所に持続する場合は、浮腫性紅斑と呼ぶ。
蕁麻疹以外で膨疹はほとんどなく、膨疹≒蕁麻疹という認識で良い。



・水泡、血泡、膿疱
液体がたまっていれば水泡、血球成分がまじって赤褐色の場合は血泡、膿瘍成分の場合は膿疱という。

  



●続発疹


・糜爛、潰瘍
表皮基底層までの表皮欠損を糜爛といい、真皮・皮下に及ぶ皮膚の欠損を潰瘍という。
糜爛は創傷の陥凹はほとんどない。
創傷が真皮に至ると皮膚の陥凹も生じ,出 血や滲出液もみられる。


・鱗屑、落屑
角層が剥がれて白くういている状態を鱗屑といい、剥がれ落ちる現象を落屑という。


・痂皮
皮膚が損傷したとき、その部位の表面から浸出した血漿や炎症細胞、壊死塊などの血液成分が固まったものをさす。 傷口の止血や保護、細菌や異物の進入を防ぐ役割がある。 いわゆるかさぶた。


・膿瘍
真皮から皮下に膿が貯留した状態。腫脹・発赤・疼痛・熱感を生じる


・胼胝、鶏眼
下床に骨を有する部位に長期間、圧迫(不適当な靴・足の変形による)が加わって生ずる限局性角質増殖。角化・過角化ともいう。
ウオノメは中央陥凹部が特に固く、やや半透明の芯となっている。角化は下に伸びるため、歩行時痛などを伴います。


・亀裂
ひび割れ、多くの場合は角化に続き生じる。


・壊疽
壊死が進行した結果、 黒色ないし緑色、悪臭を示す。 壊疽は感染症あるいは血栓症などによる虚血を原因とする。



・痘痕 瘢痕 
潰瘍、創傷、梗塞による壊死などによって生じた、様々な器官の組織欠損が、肉芽組織の形成を経て、最終的に緻密な膠原線維や結合組織に置き換わる事で修復された状態



・網状皮斑(リベドー)
網状、樹枝状をなす紫紅色斑。皮膚の血管炎や抗リン脂質抗体症候群などによる血行障害を示唆する皮疹。ショックバイタルの際にもみられる所見。